タイ進出を加速する中国大型企業群

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2005年11月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

 中国大型企業のタイ進出が加速してきた。両国は二〇一〇年の貿易総額五百億ドルを目標に、政府主導で一気に緊密さを増しつつある。 上海汽車は先頃、タイ最大の華人系企業集団CP(チャローン・ポカパン/華字名で正大集団)グループ、欧州車輸入専門ヨントラキットの二社と合弁工場設立で合意した。二年以内に乗用車とミニバンを生産し、アジア太平洋地区向けに出荷する予定。バイク最大手の嘉陵集団、同じくバイクの江門中裕摩托集団もまた、ASEAN(東南アジア諸国連合)やインド、バングラデシュ市場を標的にタイでの生産を開始する。 これらの中国企業が工場建設を予定しているバンコク東郊の東部臨海工業団地には、中国鉄鋼大手の首鋼集団が一千億バーツ(約二千八百億円)を投じて生産拠点化する計画もある。与党タイ愛国党最高実力者の一人であるスリヤ副首相兼工業相は、タイ鉄鋼業界の強い反対にもかかわらず、同プロジェクトへの支援を打ち出した。首鋼はラオス経由の陸上輸送ルートを通じ、中国西南部への製品輸出も視野に入れている模様。 九月二十日からタイのチェンマイで行なわれた第二回中国タイ経済貿易商談会の最大の目玉は、中国海洋石油(CNOOC)がタイ石油公社(PTT)、タイ石油開発公社(PTTEP)との間で、天然ガス田の探査・開発・生産に関する戦略的パートナーシップ協定を結んだことだった。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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