「サンドイッチ国家」ウクライナの深き悩み

国末憲人
 抗議の群集は10万人規模にまで膨れ上がった (C)EPA=時事
抗議の群集は10万人規模にまで膨れ上がった (C)EPA=時事

 ウクライナの国内情勢が一気にきな臭くなってきた。親ロシア派のヤヌコビッチ大統領が欧州連合(EU)との協定の調印を拒否したことに端を発した市民の抗議デモが拡大し、2004年に親欧米派のユーシェンコ政権を生んだ「オレンジ革命」以来の街頭運動となりつつある。当時とは国際環境が大きく異なり、沈静化に向かう可能性もあるものの、予断を許さない状況だ。

 抗議の市民は11月30日、キエフ中心部の独立広場に集まり、その数は1万人ほどに達した。当初は、取り囲む警官隊と一緒にお茶を飲んだりして和やかな雰囲気だったが、先鋭化した一部が警官隊と衝突、数十人のけが人を出した。翌12月1日、10万人規模に膨れ上がった群衆は、EU旗を掲げて「ウクライナはヨーロッパだ」などと叫びながら中心街フレシャーチク通りを行進。警官隊に投石を始め、警官隊側も催涙弾で応戦して、双方に負傷者が出たという。フランス人ジャーナリスト3人もけがをした。

 群衆は夕方、キエフ市役所や労組会館を占拠し、窓から「革命本部」と書かれた横断幕を垂らして気勢を上げた。キエフにいる知人に聞いたところ、首都の周辺部では通常の市民生活が営まれているものの、交通が麻痺し、混乱が広がっているそうだ。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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