中国の「環境破壊」が世界に拡げる汚染のリスク

執筆者:山本秀也 2006年1月号
エリア: 中国・台湾

国ぐるみで環境意識のない中国。東北部の河川汚染騒ぎは、彼らが着々と地球にバラ撒き続ける脅威の一端にすぎない。「十月革命の砲声が我々にマルクス・レーニン主義を送ってきた」と毛沢東は厳かに語ったが、十一月十三日の昼下がり、中国東北部の工業都市を揺るがした化学プラントの大爆発は、河川を伝ってロシア極東にまで環境汚染をもたらす結果となった。高い経済成長目標の達成と引き換えに進む中国の環境破壊が、国境を越え近隣に脅威をもたらす事実がここにある。日本を含む周辺国は、中国の環境問題に、より厳格な監視の目を向けるべきだ。 事故は吉林省の古都・吉林市内にある中国石油吉林石化公司のベンゼンプラントで起きた。「アニリン」の製造工程で、パイプの目詰まりが元で爆発したという。爆発に至る経緯やどんな化学物質が当初どれだけ流出したのか、詳細は明らかにされない。確かな事実は、環境基準を大幅に超えるベンゼンなどが吉林市を流れる松花江(ロシア名スンガリー川)に流れ込み、国境線を越えてつながるロシア領のアムール川(中国名黒龍江)にまで汚染を広げたことだ。 ベンゼンは石炭タールを分留して得られ、染料やゴム製品に使われるアニリンなど多くの製品の原料となる。揮発性が高く引火しやすい上、人体に入れば発癌作用や造血機能障害を起こすことが指摘される。アニリン自体も溶血性貧血や頭痛、嘔吐感を引き起こす。ロシアのタス通信は、この他にフェノール、トルイジンなどの化学物質がロシア領内での水質検査で検出されたと伝えた。いずれも毒物や劇物だ。

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