出たがりの頭取「斎藤宏」の大いなる野望

執筆者:鷲尾香一 2006年1月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

楽天・TBSの争いを収拾してみせたみずほコーポレート銀行頭取。目指すは世界に冠たる投資銀行だとか――。「やっぱり国重さんは自分のパーティーにまで手が回らなかったのか」 こんな噂が関係者の間を駆け巡ったのは十一月下旬のことだった。 パーティーの主人公は、TBSに経営統合を提案した楽天の国重惇史副社長。パーティーは還暦を前にした国重氏の再婚を祝う会として企画されたものといわれた。 国重氏は住友銀行(現三井住友銀行)の出身。銀行員当時は経営の中枢部門を歩き、三井住友銀行の頭取を務めた西川善文氏の「懐刀」とも言われ、将来の頭取候補の一人と目されていた。系列の証券会社であるDLJディレクトSFG証券(現楽天証券)の社長時代に会社ごと楽天に買収され、以後は三木谷浩史社長の「懐刀」に。二〇〇五年十月十三日に発表したTBSとの経営統合提案では、三木谷氏の参謀役を務め、交渉の最前線に立っていた。 冒頭の噂が流れた十一月下旬、周囲の憶測をよそに、当の国重氏は忙殺されていた。楽天の提案に対するTBSの回答期限が十一月三十日と目前に迫り、両社ともにギリギリの最終調整が行なわれていたためだ。 その三十日、楽天とTBSの経営統合問題は意外な形で「決着」する。両社の主力取引銀行であるみずほコーポレート銀行(以下、みずほCB)の斎藤宏頭取が仲介に乗り出し、両社を和解させたのだ。斎藤氏と三木谷氏は、みずほCBの前身である旧日本興業銀行時代の上司と部下の関係。斎藤氏が自ら仲介役を買って出た理由としては、「楽天とTBSがこれ以上争って全面対決すれば両社ともに企業価値を大きく毀損する可能性があると危機感を持った」ことが挙げられている。だが実は、その行動には別の思惑があった。

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