「竹島近海緊迫」の裏で海上保安庁が必死に探った「糸口」

執筆者:山田吉彦 2006年6月号
エリア: 朝鮮半島 日本

 中国大陸で発生した低気圧が通過する春の日本海は荒れる。四月半ばの竹島海域では、高さ四メートルの荒波の上で、二十隻近い韓国海洋警察庁の巡視船が日本の海洋調査船を阻止すべく待機を命じられていた。 対する日本の海上保安庁海洋情報部所属の海洋調査船「明洋」と「海洋」は、四月十九日、鳥取県の境港沖に到着した。 事の発端は、韓国が六月にドイツで開かれる「海底地形名称に関する国際会議」に竹島海域の地名を韓国名で表記する提案を計画したことだ。日本としては、対抗上、早急に海底地形を調査する必要があり、今年一月に海上保安庁内で調査の実施が合意されていた。だが、誰がなぜ、この時期を選んで実施の指示を下したのかは今もって不明である。 韓国海洋警察庁は、五千トン級の大型巡視船を主力に、日本の海洋調査船と対峙する態勢をとり、あくまでも強硬姿勢を崩さず拿捕、体当たりによる進路妨害などを計画していると報道された。一方、日本の二隻の海洋調査船は五百トン級であり、体当たりを受ければ沈没する危険があった。過熱する報道に、海保内でも全面衝突を危惧する声が出はじめ、緊張が走った。 海洋調査船は武装もしておらず、乗組員の不安は隠せない。このため、護衛を目的に「だいせん」(三千百総トン)、「りゅうきゅう」(同)の二隻のヘリコプター搭載型大型巡視船を境港沖に待機させた。「りゅうきゅう」は、那覇を母港とする尖閣諸島警備の主力船であり、不法侵入の外国船への対策訓練を十分行なっている。また、数キロ離れた海域には、時速三十ノットの速力を持つ大型高速巡視船「あそ」(七百七十総トン)が待機していた。「あそ」は北朝鮮工作船対策として配備された最新鋭の巡視船で、射撃管制機能をもつ射程五千メートルの40ミリ機関砲を装備している。まさに臨戦態勢だった。

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