統一地方選を制した朴槿恵の次なる挑戦

執筆者:黒田勝弘 2006年7月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

[ソウル発]韓国の統一地方選挙(五月三十一日)で“テロ”に遭遇した朴槿恵ハンナラ党代表(五四)の姿は、悲壮でかつドラマチックだった。あの姿がハンナラ党に事前の予想を大きく上回る圧勝をもたらした。 有権者は“テロ”に彼女の父母の運命を重ね合わせて同情し、彼女を激励した。彼女もまた非業の最期を遂げた父母の姿を胸に、政治が非情な戦いであるという政治家としての“覚悟”をあらたにした。そして「政治権力とは戦い取るものだ」ということを実感したに違いない。 ちなみに母・陸英修は一九七四年、「八・一五光復節記念式典」の会場で朴正熙大統領を狙撃した在日韓国人・文世光の銃の流れ弾で死亡している。父の朴正熙はそれから五年後、権力内部の暗闘から側近の銃弾を受け暗殺されている。彼女は「政治的悲劇のファミリー」なのだ。 彼女の政治家経歴はまだ十年にもならない。これまで“コンジュ(公主、つまりお姫様)”といわれお嬢さん政治家だったが、今回の“事件”で政治家として大きく成長した。今や野党陣営では最大の次期大統領候補になったといっていい。 朴代表の“テロ事件”は投票十一日前で選挙戦も終盤だった。カッターナイフを振るった犯人は、前科のある社会的スネ者で犯行に大きな政治的背景はなかった。しかし顔面に受けた切り傷は耳下からアゴにかけ十数センチにおよび、縫合手術は六十針におよんだ。

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執筆者プロフィール
黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1941年生れ。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長兼論説委員を経て現職。2005年度には日本記者クラブ賞、菊池寛賞を受賞。在韓30年。日本を代表するコリア・ウォッチャーで、韓国マスコミにも登場し意見を述べている。『“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。
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