東南アジアの地殻変動(上)「タイ」「中国」を結ぶ3人のキーパーソン

樋泉克夫

 5月22日のクーデターから2カ月半ほどが過ぎたタイでは、8月7日に国家立法議会(暫定議会)が発足した。総数200議席の内訳は、現役軍人(73人)を中心に、元国有企業幹部(27人)、退役軍人(25人)、元議員(22人)、国有企業幹部(16人)など。勅撰議員とはいうが、実質的に彼らを選定したのはクーデターによって国政の全権を掌握した国家平和維持評議会(NCPO)である。

 であればこそ、各議員の出身母体の構成比から判断して、国家立法議会は反タクシン運動を展開した民主派を糾合したというより、やはり旧来からの権力を構成してきたABCM複合体(Aristocrat=王室、Bureaucrat=官僚、Capitalist=財閥、Military=国軍)の政治的利害調整の場ということ。やはり今次クーデターの目的からして、国家立法議会にタクシン支持派の民意が反映される可能性は限りなくゼロに近いと考えるべきだ。

 

“タンシュエ化”するNCPO議長

 伝えられるところでは、8月中には暫定ながら首相が選出され、暫定政権が発足し、来年度予算審議、新憲法制定を経て、来年後半に実施予定の総選挙へ向けて環境整備がなされた後に民政移管というのが今後の政治日程として考えられる。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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