ウクライナの現在(上)「民主化」は進んでいるか

国末憲人
執筆者:国末憲人 2014年12月3日

 ウクライナ情勢は、解決にはほど遠い混迷ぶりを示している。一方の当事者であるロシアは、欧米諸国の制裁をものともせず、親ロ派勢力への大規模な軍事支援を続けている。その結果、東部ドンバス地方の戦闘は泥沼化し、落としどころも見えない状況だ。

 長引く紛争は、ウクライナの社会全体を蝕みつつある。通貨グリブナが暴落し、物価が上昇する一方、人々は収入を削られ、首都キエフでも生活が苦しくなっている。経済のさらなる悪化も予想され、先行きの見えない不安が街を覆う。

 こうした状況下、この国を巡る騒動の最初に問われていた「民主化」について論じる声も、次第に小さくなった。昨年11月のデモの発生から今年2月のヤヌコヴィッチ政権崩壊まで、人々の意識の根底にあったのは、民主化と腐敗追放への願いだった。それが、ロシアの介入によって、「ウクライナはロシアにつくかEU(欧州連合)につくか」といった、市民にとって危急でも何でもない問いかけにアジェンダが設定し直されてしまったのである。

 本来の「民主化」は今、どうなっているか。その現場を見ようと、ウクライナ総選挙の投票日前日の10月25日、約5カ月ぶりにキエフを訪れた。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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