「ホロコースト会議」を開いたイランの思惑とは何か

執筆者:立山良司 2007年2月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東

かつて、ナチス・ドイツが欧州のユダヤ人を迫害したホロコースト(大虐殺)。史実を曲げるかのごとき会議の狙いとは――。 ホロコースト研究者のデボラ・リプシュタット(米エモリ大学教授)はその著書の冒頭に、テレビ局が企画したホロコースト否定論者との討論番組への出演依頼を断った際のエピソードを、かなり苛立った調子で書いている。「彼ら(否定論者)と同じ席で議論すること自体、その主張に正当性を与え、彼らの反ユダヤ主義イデオロギーをあたかもまともな歴史研究のように扱うことになる」というリプシュタットの説明を番組担当者はほとんど理解しようとせず、逆に彼女に「テレビの視聴者は(ホロコーストに関し)他の見方があることも知るべきではないでしょうか」といったという。 このアメリカのテレビ番組担当者の発言は、昨年十二月十一―十二日にテヘランで開かれた会議「ホロコーストの再検討――地球的な視点」の開催理由を説明するイラン政府の言説とよく似ている。三十カ国から六十七人が参加したというこの会議の冒頭、主催者のイラン外務省付属国際政治研究所のムーサビ所長は、会議の目的を「ホロコーストを否定したり確認することではない。歴史的な問題を議論するための適正な場を提供することだ」と説明した。

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