「ビスタの次」にマイクロソフトがすべきこと

執筆者:梅田望夫 2007年3月号
カテゴリ: IT・メディア

 一月三十日「ウィンドウズ・ビスタ」が全世界で同時に発売された。じつに静かな船出であった。新OS(基本ソフト)発売をめぐるかつての熱狂を知る者としては、マイクロソフトという一つの時代が終わったことに深い感慨を持つ。 世界には十億台以上のパソコンが稼動し、そのほぼすべてがマイクロソフトの「ウィンドウズ」と「オフィス」に依存している。そういう独占状況に大きな変化はないので、出足に熱狂があろうがなかろうが「ビスタ」と「オフィス2007」は世界中に普及していく。 しかしこう考えてみてほしい。「ビスタ」は、総額六十億ドルという巨費をかけて五年がかりで開発されたOSだが、果たしてマイクロソフトはいずれもう一度同じことをやるだろうかと。「ビスタの次」を開発するだろうかと。答えは否だ。「ビスタ」はマイクロソフト「最後のOS」なのである。時代を少し振り返りながら考えてみよう。 一九九四年にシリコンバレーでネットスケープというベンチャーが生まれ、ブラウザー(ネット閲覧ソフト)を市場に投じたことから、ネット時代が始まった。出遅れたマイクロソフトも必死になってブラウザーを開発し、それを「OSの一機能」として無料化し急激にシェアを挽回した。その競争方法に疑義を抱いたクリントン政権の司法省は、九七年十月マイクロソフトを独占禁止法違反で提訴。時代がネットバブルの絶頂に向けて沸き立つ中、マイクロソフトは独禁法違反裁判という憂鬱を抱え込むことになった。

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執筆者プロフィール
梅田望夫 1960年東京都生れ。94年渡米、97年コンサルティング会社ミューズ・アソシエイツを起業。著書に『ウェブ進化論』(ちくま新書)、『ウェブ時代をゆく』(同)、『ウェブ時代 5つの定理』(文藝春秋)、『ウェブ人間論』(共著、新潮新書)など。メジャーリーグの野球、そして将棋の熱烈なファン。
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