グーグルが揺るがす「広告産業の本質」

執筆者:梅田望夫 2007年5月号
カテゴリ: IT・メディア

 九〇年代後半から今世紀初頭、グーグルの創業者たちが検索エンジンの開発に没頭していたとき、彼らの頭の中にビジネスモデルは全く描けていなかった。利用者にとって素晴らしく便利なものを作れば、ビジネスは後からついてくるだろうと考えていた。検索エンジンを事業化する試行錯誤の末に、五年ほど前に検索連動広告という事業が立ち上がった。 人々は便利だからと何の気なしに検索エンジンを使う。いまや月に四億人もの人々がグーグルを利用するまでになった。利用者は自らの関心を「検索キーワード」という形で表明して検索結果を得る。しかしグーグル(システム提供者)側では、その瞬間に利用者全体を個々の関心によって自動的にふるいわけることができている。 検索連動広告は、検索結果の画面上に検索キーワードに関連した広告へのリンクを表示し、利用者がその広告へのリンクをクリックした瞬間に初めて課金されるという仕組みである。「この検索キーワードを入力した人が見てくれるなら一人いくらまでは出してもいい」という「単位」となる金額を、媒体側ではなく広告主側が決め、オークションで競り落とすのである。 しかし、このシンプルといえばシンプルな事業が信じられないスピードで成長していくのを見て、グーグルの創業者たちも、内心では本当に驚いていたのではなかろうか。なぜこの事業がこんなに成長し、しかもこれほど儲かるのかと。私たちも不思議に思う。なぜなのだろう。

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執筆者プロフィール
梅田望夫 1960年東京都生れ。94年渡米、97年コンサルティング会社ミューズ・アソシエイツを起業。著書に『ウェブ進化論』(ちくま新書)、『ウェブ時代をゆく』(同)、『ウェブ時代 5つの定理』(文藝春秋)、『ウェブ人間論』(共著、新潮新書)など。メジャーリーグの野球、そして将棋の熱烈なファン。
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