日朝交渉「暗礁」(上)なぜこの時期に「議長宅捜索」だったのか?

平井久志
執筆者:平井久志 2015年4月10日
エリア: 朝鮮半島
 3月26日、自宅の家宅捜索を受けた後、報道各社の取材に応じる朝鮮総連の許宗萬議長 (C)時事
3月26日、自宅の家宅捜索を受けた後、報道各社の取材に応じる朝鮮総連の許宗萬議長 (C)時事

 北朝鮮の朝鮮中央通信は4月2日、日本が拉致問題を国連人権理事会で取り上げたり、日本の警察当局が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬議長の自宅を家宅捜索したりしたことを非難し「こうした状態では朝日政府間の対話ができなくなった」とする「通知文」を、外交ルートを通じて日本側へ同日伝達したと報じた。

 昨年10月28、29両日に外務省の伊原純一アジア大洋州局長を団長とする日本政府代表団が平壌を訪問し、北朝鮮の特別調査委員会幹部と協議した。日本側は拉致問題の再調査を最優先にするように求め、北朝鮮側は「過去2回の調査結果にこだわらず、新しい角度からくまなく調査を深めていく」との方針を伝えた。

 しかし、その後は公式の日朝協議は開かれず、北朝鮮側から拉致被害者の安否情報などの通告はなく、協議が停滞している。

 北朝鮮側が「政府間の対話ができなくなった」と通告してきたことで、昨年5月29日に発表された「ストックホルム合意」は危機に直面することになった。

 

「拉致問題国際化」は「重大な政治的挑発」

 北朝鮮の「通知文」は「最近、わが共和国に対する日本の重大な政治的挑発と国家主権侵害行為が度を超えた」と指摘した。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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