世界的バイオ燃料ブームの危険な勘違い

執筆者:トマス・ラブジョイ 2007年7月号

たしかにバイオ燃料は有効な温暖化対策だ。だが、どこで何を育てるかを間違えば、生態系を破壊し温暖化を逆に増進する恐れがある。[ワシントン発]人類はいま、温室効果ガスである二酸化炭素による気候変動という難問に直面している。その原因はおもに、わたしたちの住む惑星に起こっている生態学的な歪みにある。 炭素は地球上のあらゆる生命体の基本的な構成要素である。そして生命体は主として太陽エネルギーを利用して作られる。光合成によって太陽エネルギーを生体有機物に変換するわけで、緑色の植物は自分で直接変換し、動物は草食動物に始まる食物連鎖を通じて間接的に変換する。 温室効果ガスが増加しているのは、長いあいだ手つかずのまま地中にあった天然ガスや石油、石炭を人類がいま盛んにエネルギー源として燃やしているからだが、これらは熱帯やその他の生態系で太陽エネルギーから転換された古代のバイオマスなのである。いずれも地質学的に古い地層に埋蔵されているため、「化石燃料」と呼ばれる。温室効果ガスの増加にはさらに、現代の生態系の破壊、おもに熱帯雨林の破壊も重要な役割を演じている(年間総排出量のおよそ二三%に相当)。 したがって、新しいエネルギー源を求める戦略の一環として、生物を原料とする燃料、すなわちバイオ燃料の利用を追求することは理にかなっている。理論通りなら、燃焼に際して排出される二酸化炭素は、原料作物が次回の生育中に吸収する炭素によって相殺される。現実には、そう簡単にはいかない。そのうえ、何を、どのように、どこで育てるかについては、社会的にも、また環境への影響という点からも、いろいろと考慮すべきことがある。藻類から油ヤシまで、さまざまなバイオ燃料の開発がブームとなっているが、開発を急ぐあまり、こういった重大な側面がなおざりにされるなら、不幸な結果を招くだろう。

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