“軍政後”のタイ市場に中国企業がなだれ込む

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2008年2月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

 軍政から民政への移行が注目されていたタイでは、昨年末、経済面での対中国関係の“現状”の不安定さを象徴する二つの大きな動きがあった。 まず、タイ最大手財閥で中国進出に実績を持つ華人系のチャロン・ポカパン(CP)が、中国大手の奇瑞汽車(チェリー)と合弁で自動車生産に乗り出したことだ。中身は、(1)投資額十億バーツ(約三十七億円)、(2)タイ東部工業地帯のラヨン県に組立工場を建設、(3)年間生産四千―五千台、(4)車種は奇瑞がインドネシアで生産中の小型車を除く多目的スポーツ車(SUV)を検討、(5)国内販売に加え東南アジア諸国への輸出を目指す、(6)合弁には欧州車の組み立て・輸入販売を手がけるタイのヨントラキットも参加。 実は二〇〇五年秋、CPは今回とほぼ同様の計画を、奇瑞のライバルである上海汽車と進めていた。相手を替えた背景には、ピックアップトラックの東南アジアへの展開拠点としてタイを重視した、奇瑞からの強い働きかけがあったともいう。 今回の合弁を「事業多角化の一環」(タナコン副会長)とするCPは、かつて中国市場での提携を、上海汽車に出資する米ゼネラル・モーターズ(GM)に申し込みながら拒否されたことがある。ある内部通は、CP最上部が抱くGM=上海汽車への不信感を指摘していた。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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