“改札口”を通すほど「食の安全」は高まる

執筆者:一ノ口晴人 2008年4月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

「私が作りました」とほほ笑む農園主の写真は食品の安全を保証しない。食品の“足跡”の徹底的な記録こそが過失や悪意を見つけ出す。 ギョーザの農薬混入事件を受け、日本では中国製食品に対する不安がますます高まっている。事件の最大の問題点は「犯人」を特定できていないこと。それゆえ、抜本的な再発予防策を立てられないまま工場は「全面閉鎖」され、流通段階では少しでも関係のありそうな製品を「全品回収」し、あまり関係がないと思われる商品まで検査するため納品が滞るという事態を招いている。まるで暗闇でふいに殴られ、やみくもに手を振り回しているようなものだ。「犯人」の追跡を困難にしているのは食品衛生管理システムの不備だ。ここを改善しなければ同じことが繰り返される。 二〇〇一年秋のBSE(牛海綿状脳症)の国内発生を受け、日本の食品業界はトレーサビリティ(生産・流通履歴)の概念を導入し始めた。これは農場や加工場から食卓までの各段階で食品を識別・追跡し、消費者に安心を与える仕組みである。いったん食品事故が起これば、トレーシング(川上への遡及)で「犯人」を特定し、トラッキング(川下への追跡)で被害の拡大を的確に防ぐことが可能だ。

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