経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(2)

イランを訪れて感じた「変化」へのかすかな兆し

田中直毅
執筆者:田中直毅 2008年4月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中東

 二月のテヘランでは雪が降る。寒風は東京と変わらない。決定的に違うのは大渋滞の車の排気ガスである。ほこりっぽさとあいまって弱い人は気管支をやられるだろう。 二〇〇六年八月、〇七年十月に続く三度目のテヘラン訪問だったが、街の雰囲気に違いがある。国際社会との接触面を映すかのようだった。 〇六年の夏はテヘランに昂揚感が満ちていた。宗教者の歴史的施設が並んだ通りの電柱には、レバノンからイスラエルにひとあわ吹かせたシーア派イスラム勢力のヒズボラ指導者ナスララの写真が飾られていた。これではヒズボラの支援者はイランだと白状したようで、イラン政府の公式表明との差は大きかった。 〇七年の秋には米国によるイランの国有銀行への経済制裁が一層厳格化され、原油のドル決済も不可能になるなか、イランの指導者たちのブッシュ政権批判は一通りのものではなかった。産油国なのに製油所の新増設は経済制裁のゆえに難しく、輸入ガソリンが物価水準へはね返り、街の活気を削いでいた。 そして今回、三月十四日は国会議員選挙なのに、街にそれを窺わせるものは何もない。変化への胎動は秘められたままと私には映った。手詰り感はやはり広がっているのだ。

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執筆者プロフィール
田中直毅
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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