米国の異例の危機管理が示す「金融恐慌寸前」

執筆者:小田博利 2008年5月号
エリア: 北米

これで終わったわけではない。米欧が次々に打ち出す非常対応策を見れば、事態が崖っぷちまで来ていることが分かる。なのに日本は――。 米国の金融を世界恐慌後の一九三〇年代の悪夢が襲おうとしている。官民挙げた大手証券ベアー・スターンズの救済劇は、米国が危機のさなかにあることを物語る。欧州などにも危機は伝播し、世界経済は不況に突入しつつある。成長センターを自他共に認めていた中国も、北京五輪を前に株式市場が暴落し、インフレの火の手が上がっている。 上海総合株式指数。昇り竜の中国経済を象徴していた上海株が、今年に入り暴落商況となっている。四月上旬に節目と見られていた三五〇〇ポイントを再び割り込んだ。六〇〇〇ポイントをも上回っていた昨年十月の最高値の半値近くになっている。「株民」と呼ばれる個人投資家は中国全土に一億五千万人。米国の個人投資家を上回る数のこれらの投資家は、株価上昇に夢を託していたが、今や暴落の火砕流に飲み込まれている。 株価下落に歩調を合わせるように、国際社会での中国株も暴落している。三月上旬にチベットのラサで起きた民衆の反乱に対して、手荒な武力鎮圧を実施したことが直接の引き金である。背景には一九五〇年代末のチベット蜂起以降、くすぶるチベットの民衆の不満が渦巻いている。

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