饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(127)

胡錦濤訪日をもてなした「最高のワイン」の含意

西川恵
執筆者:西川恵 2008年8月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 日本

 外国の国賓が来日すると、天皇、皇后両陛下は歓迎の宮中晩餐会を催す。この晩餐会のルールは「どの国に対しても最高レベルでもてなす」ことである。したがって飲物一つを見ても、アフリカの国であろうと、米国であろうと、最高格付けのフランス産ワインが出される。 つまり国の大小、日本との関係の遠近によって差別をつけない。これは皇室が「政治」と切り離された存在であることと無関係ではないだろう。 一方、首相官邸で持たれる饗宴には「政治」が反映する。その国と日本の関係、首脳同士の親近感、またどのような関係を持とうとしているかで饗宴内容、特にワインが違ってくる。 中国の胡錦濤国家主席が五月に来日した折、宮中晩餐会(七日)はいつものようにフランス料理でもてなした。ワインは予想通り最高レベルで、白〈ピュリニィ・モンラッシュ96年〉、赤〈シャトー・ラトゥール90年〉、シャンパン〈ドン・ペリニョン95年〉だった。 ではその翌日、「政治」が反映する首相官邸の晩餐会はどうだったのか。約七十人が招かれた、そのメニューである。 前菜(鮑柔らか煮、湯葉豆腐、チーズの白和え等) 吸物(すっぽん茶碗むし) 造り(本まぐろ中トロ、天然鯛、伊勢海老)

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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