ブックハンティング・クラシックス
ブックハンティング・クラシックス(49)

韓国の碩学が教えてくれる日本人の知らない「日本の長所」

執筆者:黒田勝弘 2009年5月号
カテゴリ: 文化・歴史 書評
エリア: 朝鮮半島

『「縮み」志向の日本人』李御寧著講談社学術文庫 2007年刊(単行本は学生社より1982年刊。現在も入手可能) 先ごろ野球のワールドベースボールクラシック(WBC)で二連覇した日本チームについて、米国などでは「スモール・ベースボールの成果」と評しているという。安打でこつこつ点をあげ、投手は変化球をふくめ絶妙なコントロールで打者を抑えるという緻密(?)な野球だったからだ。その結果、ホームランは少なかったが防御率は最高だった。しかもクリーンアップにバントまでやらせている。 メジャーリーグの野球とは明らかに違うというのだ。 この話に接したとき、とっさに李御寧氏の著書『「縮み」志向の日本人』を思い出した。この本は外国人による日本人論の名著として名高い。日本野球に対する「スモール・ベースボール論」について「李御寧さんならどう思うかな?」「その通り、とひざを打つだろうな……」と思ったからだ。 さっそく著書をひもといて、日本の野球についての記述はなかったか探してみた。すると一カ所だけあった。日本野球を分析したホワイティングの『菊とバット』からの引用を参考に次のように書いている。「……米国では多くのバッターはフォームやスタイルなどは気にせず、いい結果を生むことだけを念頭におくのに、日本では『良き野球選手とは自分自身の身体の動きをいつも正しいフォームに合致させる者をいう。それさえやれば、他のことはすべて自然についてくるという』のです。ホワイティングさんはここでフォームやスタイルといってますが、これこそがあの『構え』なのです」

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1941年生れ。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長兼論説委員を経て現職。2005年度には日本記者クラブ賞、菊池寛賞を受賞。在韓30年。日本を代表するコリア・ウォッチャーで、韓国マスコミにも登場し意見を述べている。『“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順