北朝鮮軍部の「裏」を仕切る「呉克烈」という男

平井久志
執筆者:平井久志 2009年9月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

軍事優先で後継体制づくりを急ぐ北朝鮮。日増しに存在感を強める軍部の中で、ひときわ注目される人物がいる。 満面の笑みを浮かべる金正日総書記と、固い視線をカメラに向けたクリントン米元大統領。写真は両者の立場を克明に写し出していた。 八月四日、クリントン元大統領は拘束されていた米女性記者二人を解放するために電撃的に平壌を訪問、金総書記と会談し、翌日、二人を連れて帰国した。米国側は「私的訪問」としているが、実質的には米政府特使の役割を担ったといえよう。 金総書記にとって、クリントン元大統領の訪朝は一石三鳥であった。第一に、対立していた米朝関係を対話局面に切り換える契機を作った。第二に、自身の健在ぶりを内外に誇示できた。第三に、超大国・米国の元大統領がわざわざ平壌にやって来て“謝罪”する姿を国民に示し、「偉大な領導者」としての権威と求心力を高めることができた。 北朝鮮は「朝米間の懸案が真摯な雰囲気の中で虚心坦懐に深く論議され、対話によって問題を解決することで見解の一致をみた」とし、訪問は「朝米間の理解を深め信頼を醸成することに寄与するであろう」と高く評価した。米国は「ツートラック」作戦 オバマ政権は発足当初、北との対話に応じる姿勢を見せていたが、北が核実験やミサイル発射という挑発行為を続けたことで対応を変えていた。米朝は今回の会談に至るまでに激しい非難の応酬を繰り広げた。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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