スマートグリッドの可能性と危険性

執筆者:五十嵐卓 2009年9月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 北米

米オバマ政権が打ち出した「賢い電力網」構想。世界の電力供給の形を変えることは本当に可能なのか。 電力は発電所から家庭やオフィス、工場に届くまでに送電線、変電所、変圧器などを経由する。その仕組みは乾電池と電球をつなぐようなイメージをもたれがちだが、当然ながらそれほど単純ではない。送配電網には多数の発電所と莫大な数の顧客がつながっている。顧客はエアコンや電灯、エレベーターを予告なく起動し、必要なくなれば予告なく消す。電力会社はそうした需要のめまぐるしい変動に対応しながら、電力を安定供給する義務を負っており、それは一般に考えられるよりはるかに複雑で高度なサービスといえる。 東京電力が供給する電気は電圧が百ボルトで、周波数が五十ヘルツと決まっている。電圧が安定せず八十ボルトに低下したり、百二十ボルトに上昇したりすれば、電球が暗くなったり、切れたりする。周波数が狂えばエレクトロニクス製品が異常作動する。工場で言えば、同じ速度で加工していた製品が周波数の変動でモーターの回転数が変わり、不良品になることもある。 日本では停電などは落雷や送電線の切断事故でもない限り、ほとんど起こらないが、世界でみれば停電は日常茶飯事という国が多い。そうした国では、当然、電圧や周波数も安定せずに変動しており、それが原因で精密機器の工場や情報通信の拠点を置くことが出来ないというケースもある。

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