「常人統治」に失敗した胡錦濤の苦しい晩節

執筆者:藤田洋毅 2010年1月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 中国・台湾

「親民」も「調和社会」も、目指したところは良かったものの、付いてくる部下も民衆も数少なかった。中国トップの哀しき胸中は……。 機上の人となったばかりの胡錦濤総書記に、緊急電話が相次いだ。かけてくるのは中国共産党の最高幹部である政治局常務委員ばかり。新疆ウイグル自治区の区都ウルムチを舞台に少数民族が大規模な集会やデモを呼びかけ緊張が高まっていると、自治区トップの王楽泉書記(政治局員)らが党中央に対処方針の指示を仰いだためだ。 イタリアでのG8サミット(主要国首脳会議)などに出席するため専用機で北京を離れた二〇〇九年七月五日のことだった。結局、サミットに参加せず帰国する羽目になったのは記憶に新しい。 一本目の電話は、李克強筆頭副首相から。九名からなる政治局常務委員会の序列ナンバー7((7)と表記。以下同)だ。李は「今夜、在京の政治局常務委員と(軍・公安など)関連部門の責任者を集めて拡大ポン頭(緊急招集)会議を開き、討議したい。(武力鎮圧など)強硬策は、問題解決に役立たないばかりか、よけいに問題を複雑にする恐れがあるため、避けるべきだと考える」と述べた。続けて、山西省視察中の温家宝首相((3))も同じ意見だと伝え、さらに、「拡大会議に向け、現在、全常務委員の意見を聴取している」が、安徽省視察中の呉邦国全国人民代表大会(全人代)常務委員長((2))からは「明確な意思表示がない。これまでのところ、具体的な答えは返ってきていない」と付け加えた。

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