「トヨタ問題」はどんな教訓を残したか

執筆者:マイケル・グリーン 2010年4月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 北米

[東京発]この一カ月、アメリカのテレビや新聞は、連日、トヨタ車の急加速問題を大きく取り上げている。車が制御不能に陥ったとするドライバーからの緊急電話の録音を繰り返し流すなど(後にドライバーの証言に疑義も出たが)、報道の大半が否定的で警戒を呼ぶものだ。
 一方、日本では、アメリカでトヨタ問題がヒステリックな扱われ方をしていることを、沖縄の米軍普天間基地の移設問題や、カタールで三月十三日から開催のワシントン条約締約国会議で議論される地中海・大西洋産クロマグロ(本マグロ)の輸出入禁止(日本は反対)にアメリカが賛成するのを決めたことと絡めて、新たな「ガイアツ」の兆しと受け取める報道がある。
 もちろん、米日双方の評論家の間には、米議会がトヨタ車の安全問題を追及する背景には、これを機に米市場におけるシェアを奪い返そうと目論む米自動車メーカーと労働組合からの圧力があるとの見方もある。実際、経営破綻しかけたGMとクライスラーの救済に公的資金が投じられ、全米自動車労働組合(UAW)が議会に対して大きな影響力を持っていることは紛れもない事実であり、トヨタの信用に傷をつけようという政治的陰謀があるのではないかと疑う者がいても不思議はない。

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執筆者プロフィール
マイケル・グリーン 1961年生れ。フルブライト留学生として東京大学大学院に留学。国会議員秘書や新聞記者などで5年間の滞日経験をもち、日本語に堪能。ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)より博士号取得。2001年、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)入りし、04年から05年まで上級アジア部長。06年初めよりCSIS日本部長とジョージタウン大学教授を兼務している。
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