饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(41)

衣装の政治的象徴性を体現したジャクリーン夫人

西川恵
執筆者:西川恵 2001年5月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 パリ・コレの本場フランスでは、政府首脳のご夫人がどこのデザイナーを重用し、どのようなデザインのドレスを身にまとうかは、人々の好奇心の的である。ファーストレディーのファッションは、その時代の空気の一表現であり、その趣味を通じて政権の性格さえも暗示するからである。 現在のシラク大統領(保守派)のベルナデット夫人はシャネルが多い。前のミッテラン大統領(左派)のダニエル夫人はイヴ・サンローランが贔屓だった。サンローラン自身、公然たる左派支持者で、コレクションの発表会にはよくダニエル夫人の姿があった。一方のシャネルは、保守支持層の政治家夫人に人気が高いようだ。 彼女らが、いま挙げたデザイナーの服しか着ないという訳ではもちろんない。ただここぞ、というときのドレスを見れば傾向はうかがえる。 ニューヨーク・メトロポリタン美術館で五月一日から「ジャクリーン・ケネディ――ホワイトハウスでの歳月」と題した回顧展が三カ月の会期ではじまった。故ジャクリーン夫人が三十一歳のとき、夫のケネディ大統領とともにホワイトハウス入りし、世界の社交界の華となって四十年が経ったのを記念して企画された。夫人が着ていたイブニングドレス、衣装、ガウン、帽子、装飾品などが、等身大の写真パネルなどとともに展示された。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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