ノーベル経済学賞が映し出す「資本主義の非対称性」

執筆者:喜文康隆 2001年11月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

「さて、ひょっとしてこのわれが指を膠に突っ込むか、はたまた狂って右足を左の靴に突っ込むか……」(ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』)     * スウェーデン王立科学アカデミーは十月十日、二〇〇一年のノーベル経済学賞をジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授、ジョージ・アカロフ米カリフォルニア大バークレー校教授、マイケル・スペンス米スタンフォード大教授の米国人三氏に授与すると発表した。授賞はミクロ経済分野の理論である「情報が不完全な市場での経済均衡」、いわゆる「情報の非対称性の経済学」に対する貢献を評価したものである。「レモン」の市場「世界は非対称である」。二十世紀の科学の展開は、ニュートンによって確立された古典的な世界観、というよりは近代の社会を形成してきた「対称性」の世界の否定の歴史である。 その嚆矢となったアインシュタインによる「(一般)相対性理論」の完成(一九一五年)は、時間と空間によって区切られた確固とした世界の存在を否定した。続いてハイゼンベルグが提唱した「不確定性原理」(一九二七年)は、物質は分子や原子などの確かなものでできあがっているのではなく、超ミクロの現実も、まるで宇宙のような運動によって成立していることを浮き彫りにした。

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