為替介入の「不経済学」

吉崎達彦
執筆者:吉崎達彦 2002年9月号
エリア: 日本

円高はいまだに悪なのか。またぞろ「円高阻止」の声が高まっているが、製造業のアジアシフトが進む中、通貨政策の常識を改めて疑ってみる必要がある。 為替介入は普通、自国通貨を防衛するために行なわれる。多くの場合、この試みは成功しない。最近のアルゼンチンやトルコ、あるいはアジア通貨危機でのタイや韓国、インドネシアなどの例が典型だ。いったん価値の下がり始めた通貨は誰もが手放してハードカレンシー(強含みの通貨)に換えようとする。ひと儲け企む投機筋はここぞと売りに回る。政府は自国通貨の買い支えに入るが、最後は中央銀行が外貨準備を使い果たして万策尽きる。通貨の価値は落ちるところまで落ち、インフレと国民生活の破綻に至る。通貨が弱くなる国の末路は哀れだ。

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執筆者プロフィール
吉崎達彦 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
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