民政移管後も火種がつきない石油大国ナイジェリア

執筆者:浅井信雄 2003年6月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: アフリカ

 イラク石油の生産・販売の主導権を米国が握るかどうかを、アフリカから注視しているのがナイジェリアだ。米国の輸入石油の約五分の一をまかなう石油大国ナイジェリアは、イラク石油の増産から受ける打撃が、国内の民族紛争を再燃させないかと懸念する。 アフリカ大陸最大の人口と複雑な住民構成を持つナイジェリアの国家安定を左右する要素は民族、宗教、石油の三つである。つまり、冷戦後の局地紛争を誘発する主要な要素を抱えているのだ。 米国中央情報局(CIA)の二〇〇二年七月現在の推定では、ナイジェリアの総人口は一億二九九三万四九一一人であり、それが二百五十以上の民族集団から成る。公用語の英語以外に、各集団が独自の言語を持ち、北部、南西部、南東部の三地域にほぼ分類されて住んでいる。 国土の三分割状態はニジェール川とべヌエ川によって自然に形成されたが、最有力民族は北部のハウサ・フラニで総人口の二九%、次いで南西部のヨルバが二一%、南東部のイボが一八%であり、いずれも人口数千万の大集団である。 この三大集団が相互に勢力争いをしながら、それぞれの地域内で中小集団を支配しようとするため、中小集団からは服従と反発の二面的反応を受ける。民族集団の合従連衡によって、国家レベルの政治勢力図も変動するため、話し合いの調整がむずかしく、流血の政変を生みやすい背景となってきた。

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