天候デリバティブは「市場拡大」に耐えられるか

執筆者:川原吉史 2003年10月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

 冷夏と長雨による十年ぶりの異常気象に見舞われた日本列島。海の家やビヤホールには閑古鳥が鳴き、夏物衣料やクーラーが販売不振を極めるなど不景気なニュースが多かったが、天候不順を逆手にとったユニークなサービスも話題を集めた。「雨で露天風呂が利用できなければ二千円の館内利用券」(群馬県の温泉旅館)、「雨が降ったら伊勢海老や鮑を無料提供」(三重県の旅館)、「雨で庭園結婚式ができなかったらホテルのカップル宿泊券」(三重県の結婚式場)――などだ。こうしたユニークな顧客サービスを裏で支えたのが、天候デリバティブと呼ばれる金融商品である。 仕組みは簡単だ。利用者は損害保険会社や大手銀行など金融機関との間で「降水量が一日に五ミリ以上の日が三日続いたら、四日目以降は一日につき百万円の補償金を支払う」など細かな契約条件を設定。利用者は金融機関が過去の気象データから算出した「プレミアム」を支払う。小口契約なら五十万円から百万円が相場だ。 天候が契約どおりにならなかったらプレミアムは支払い損となるが、天候不順になれば売り上げの減少を補償金でカバーできる。いわば「掛け捨て」のオーダーメード保険に近い。 一口に天候デリバティブといっても対象とするリスクは多い。一般的なのは気温や降水量だが、湿度、風速、降雪量も対象になる。最近では日照時間や不快指数を対象にしたデリバティブのほか、「流氷デリバティブ」という変わり種も登場した。流氷の動きを左右する風向を指数化した商品で、流氷がこないと営業できない観光船運営会社に販売したという。

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