インテリジェンス・ナウ
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希代の戦略的詐欺師にイランの影は濃く

春名幹男
執筆者:春名幹男 2004年7月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

 週末のホワイトハウス、外の観光客の喧騒とは対照的に、中はひっそりしている。しかし五月二十二日(土)はちょっと様子が違っていた。ウエストウィングにある、ライス国家安全保障問題担当補佐官の部屋に、数人が押しかけ、ライス補佐官を質問攻めにした。 リチャード・パール前国防総省国防政策委員長やジェームズ・ウルジー元米中央情報局(CIA)長官らの姿が見えた。ネオコンサーバティブ(新保守主義者、略称ネオコン)のグループである。 その二日前、彼らが強力に支持していたイラク国民会議(INC)のアハメド・チャラビ代表のバグダッドの自宅と事務所がイラク警察当局の捜索を受け、部下七人に逮捕状が出た。捜索には、CIAの要員や米連邦捜査局(FBI)の捜査官らも立ち会った。 パール氏らは口々に、チャラビ代表に対する根拠のない「中傷攻撃」と非難したという。 このチャラビ切り捨て劇、いささか大げさだが、アメリカ版“宮廷クーデター”の様相を呈している。 イラク戦争は、経緯からみてチャラビ代表抜きには考えられない。フセイン政権打倒(レジーム・チェンジ)を盛り込んだ一九九八年の「イラク解放法」は、チャラビ代表らのロビー活動を受けて、当時のトレント・ロット共和党上院院内総務がまとめ、成立した。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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