メッシに神は降りなかった

執筆者:星野 智幸 2014年7月16日
エリア: 中南米

 ワールドカップ・ブラジル大会は、下馬評どおり、圧倒的な完成度を誇るドイツが、文句なしの優勝を遂げて終わった。ベスト4に残った4カ国のうち、オランダ、ブラジル、アルゼンチンが引き分けのPK戦を最低1試合は強いられたのに対し、ドイツはすべてPK戦なしで勝ちきっており、その強さが他チームより1次元上にあったことは疑いえない。その点から見ても、結果はきわめて合理的なものと言える。

 それでも、と、アルゼンチンの優勝を強く祈っていた私は言いたい。この南米でのワールドカップは、非合理なものが主役を張った大会だったのだと。

カテゴリ: スポーツ カルチャー
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執筆者プロフィール
星野 智幸(ほしのともゆき) 作家。1965年ロサンゼルス生れ。早稲田大学第一文学部を卒業後、新聞記者をへて、メキシコに留学。1997年『最後の吐息』(文藝賞)でデビュー。2000年『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、2003年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、2011年『俺俺』で大江健三郎賞を受賞。著書に『ロンリー・ハーツ・キラー』『アルカロイド・ラヴァーズ』『水族』『無間道』などがある。
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