北朝鮮「対南担当」は誰に(下)韓国が恐れる強硬派「金英哲」就任も

平井久志
執筆者:平井久志 2016年2月3日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 金養建党書記の国葬委序列では、27位の柳美英(リュ・ミヨン)天道教青友会中央委委員長までは崔龍海氏の復権と金養建氏の死亡以外は変化がなかった。

金養建国葬委の注目点

 興味深いのは金養建氏の国葬委の序列29位に登場した李萬建(リ・マンゴン)氏である。この序列29位からは党中央委の部長クラスが名を連ねているが、序列28位の李日煥(リ・イルファン)氏、序列30位の金萬成(キム・マンソン)氏も党部長であり、先に報告した通り、この時点で、平安北道党責任書記を務めていた李萬建氏が党部長に就任した可能性が高まった。李萬建氏は李乙雪元帥の国葬委では序列156位だったが、一挙に29位に浮上した。1月に報告したように、李萬建氏が第4回目の核実験を主導した党軍需工業部の部長に就任した可能性が高いとみられる。後任の金ヌンオ・平安北道党責任書記も57位にリストアップされた。また、李乙雪氏の国葬委で34位だった金春燮(キム・チュンソプ)党軍需担当書記の名前は金養建氏の国葬委にはなく、解任された可能性が高い。
 第4回核実験の準備を進めていた党の軍需工業部の部長が核実験直前に交代したことは、党内部で何らかの葛藤があったことを示唆するものだ。
 金養建氏の国葬委では、李乙雪元帥の国葬委には名を連ねた金英春(キム・ヨンチュン)元人民武力部長、金正覚(キム・ジョンガク)金日成軍事総合大学総長、李河一(リ・ハイル)次帥などの金正日時代の軍幹部は姿を消した。このほか、尹正麟(ユン・ジョンリン)軍護衛司令官、金明国(キム・ミョングク)、呂チュンソク、李明秀(リ・ミョンス)各大将、崔慶星(チェ・ギョンソン)党中央軍事委員、李テチョル人民保安部第1副部長、韓光相(ハン・グァンサン)前党財政経理部長、張正男(チャン・ジョンナム)第5軍団長などの名前がなかった。
 李乙雪元帥の国葬委に名前がないのに、今回、国葬委に名前が出たのは金完洙(キム・ワンス)祖国統一民主主義戦線中央委議長兼書記局長、金震国(キム・ジングク)海外同胞事業局長、朴鎮植(パク・ジンシク)統一新報主筆らがいるが、これは党統一戦線部の関係者で、故人との関係を重視したともみえる。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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