台湾南部地震は高雄・台南の「双子地震」か

執筆者:野嶋剛 2016年2月16日
タグ: 中国 台湾
エリア: アジア

 台湾の台南でビル倒壊を引き起こした地震には、いまだ解明されていない謎がある。それは、なぜ、隣の市である高雄市で発生した地震なのに、台南に被害が集中したのかという問題だ。いま台湾では、その原因について、高雄と台南の「双子地震」であった可能性を疑う声が地震の専門家の間から上がっている。

 

「余震」ではない「双子地震」

 地震発生後、台南市では複数のビルが倒壊し、特に永康地区にある「維冠金龍大楼」は、大型の14階建て集合住宅の9棟が一気になぎ倒され、住民100人以上が生き埋めになるという甚大な被害を起こした。すでに捜索活動は終了しており、死者は114人に達した。ほかの場所での死者2人をあわせて、今回の台湾での地震による死者は計116人となった。

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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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