オバマ「核先制不使用」(下)日本「核武装」は「憲法違反」?

 オバマ米大統領の「核先制不使用」宣言は、P5(5つの国連安保理常任理事国)すべてにも同じ宣言を求めるものになるといわれている。

「核先制不使用」宣言のポイントは

 中国は以前から2011年国防白書まで「核先制不使用」を明言していたが、2013年白書からは、この記述がなくなった。米露に追いつけ追い越せと核保有国としての地位を高めてきた今、この宣言に乗るであろうか?
 また、ロシアのプーチンは日本ではそれほど強く認識されていないが、今やアメリカ国防総省の脅威対象のNO.1である。グルジア、ウクライナの対応で、国連憲章による戦後レジームをないがしろにしてきた張本人という位置付けだ。NATOもこれまで以上にロシアの動向に最大限の注意を払っており、今度の宣言もロシアの出方が大きなポイントになる。
 ただこの両国は、米、英、仏と異なり、たとえ「核先制不使用」を宣言したとしても、簡単にそれを覆すかもしれない恐ろしさがある。アメリカも当然この両国との交渉においては織り込み済みであろうことから、注目しておく必要がある。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
伊藤俊幸(いとうとしゆき) 元海将、金沢工業大学虎ノ門大学院教授、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、日本安全保障・危機管理学会理事。1958年生まれ。防衛大学校機械工学科卒業、筑波大学大学院地域研究科修了。潜水艦はやしお艦長、在米国防衛駐在官、第二潜水隊司令、海幕広報室長、海幕情報課長、情報本部情報官、海幕指揮通信情報部長、第二術科学校長、統合幕僚学校長を経て、海上自衛隊呉地方総監を最後に2015年8月退官。
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