朴槿恵政権の「崔順実ゲート」(上)「メディアvs.青瓦台」3カ月の死闘

平井久志
執筆者:平井久志 2016年11月2日
カテゴリ: 政治 国際 社会
エリア: 朝鮮半島
10月25日、朴槿恵大統領の謝罪会見報道に見入るソウル市民 (c)AFP=時事

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権が「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」で、任期を1年4カ月残し、機能不全に陥っている。側近の不正疑惑や経済不況などで苦境にあった朴槿恵大統領は10月24日、国会での施政方針演説で、それまでの姿勢を一変させ、再選を禁止した憲法を改正することを提案した。憲法改正を提案することで、政局の焦点を側近不正疑惑などから改憲に向かわせ、状況を転換する戦術とみられた。

1台のタブレットの破壊力

 しかし、1台のタブレットが、朴槿恵大統領の思惑を壊しただけでなく、朴槿恵政権を根元から揺るがせる事態を生み出した。有力紙、中央日報系列のケーブルテレビ総合編成チャンネル(総編)「JTBC」は朴槿恵大統領の改憲提案演説の数時間後、朴槿恵政権の影の実力者といわれてきた女性、崔順実氏のタブレット・パソコンを入手したと報じた。それを分析した結果、崔順実氏が大統領の演説文を事前に入手していただけでなく、それを手直ししていた事実が明らかになったとした。このタブレットには、約200件の文書が入っており、大統領の演説文も44件入っていた。韓国には「大統領記録物管理法」という法律があり、大統領府(青瓦台)の文書を流出させた者は7年以下の懲役または罰金刑が課せられる可能性がある。
 李元鐘(イ・ウォンジョン)青瓦台秘書室長は10月21日、国会の国政監査の場で崔順実氏が大統領の演説文を書き直しているとの疑惑に対し「封建時代にもありえない話」と一蹴したが、封建時代にもあり得ないことが朴槿恵政権下で行われていたことが明らかになった。

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執筆者プロフィール
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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