朴槿恵政権の「崔順実ゲート」(下)「外交」「大統領選」にも影響する「レームダック化」

執筆者:平井久志 2016年11月2日
エリア: アジア
10月31日、ソウルの検察庁者に出頭した崔順実氏(中央) (c)EPA=時事

 ミル財団のイ・ソンハン前事務総長はハンギョレ新聞に対して、崔順実(チェ・スンシル)氏が毎日、青瓦台から厚さ30センチの「大統領報告資料」を受け取っていたと証言している。イ前事務総長は「資料は、主に青瓦台の首席秘書官が大統領に報告したもので、ほとんど毎晩、(門番3人組の1人である)チョン・ホソン付属室秘書官が持ってきた」と証言した。その上で、崔順実氏がここはああしろ、あれはああしろと指示し、それを自分たちが事業計画書として作成して提出すると「それが後に1文字も変わらずにそのまま大統領府の文書となり、私たちに返ってきた」と述べた。
 ハンギョレ新聞が報じたイ事務総長のインタビューによると、崔順実氏は自分のソウル市論峴洞の事務所で各界の専門家と会って、大統領の今後の日程や国家的政策事案などについて論議したという。崔順実氏はこうした会をテーマ別に運営していたという。この秘密の会合で取り上げたテーマは財団の問題は約10%で、あとは開城工業団地の閉鎖など政府政策と関連したもので、崔順実氏はこれを「朴槿恵(パク・クネ)大統領の関心事項」と表現していたという。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top