ヨーロピアン・ラプソディ
ヨーロピアン・ラプソディ(7)

「カタルーニャ州独立」への試金石となった「バルセロナ・テロ」

大野ゆり子
執筆者:大野ゆり子 2017年8月29日
エリア: ヨーロッパ 中東
街は深い哀しみに包まれた(筆者撮影、以下同)

 

 バルセロナの目抜き通りで22歳のイスラム過激派の男が白ワゴン車を暴走させ、百数十人の死傷者を出した事件から1週間。ランブラス通りで13人の犠牲者が亡くなった場所には、ロウソク、ぬいぐるみや花束、犠牲者への追悼メッセージが地面を埋め尽くし、通り過ぎる人々が立ち止まって祈りを捧げている。アラビア語で書かれたメッセージを持ち、深く頭を垂れて祈るイスラム教徒の姿も少なくない。

 しかしその場所を除いて、バルセロナの街はまるで何事もなかったように日常に戻った。アイスクリームを食べながら散歩する観光客、テラスで楽しそうに食事をする人々――観光客も減った様子がなく、カタルーニャ広場とランブラス通りの人混みも変わらない。街も人間と同じように傷を受け、カサブタを作って、やがて再生していくものだが、この街の回復は、私が滞在したフランス、イギリスやベルギーと比べて驚くほど早く感じられる。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子 エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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