世界漫遊「食考学」の旅 (3)

【チリ・バルパライソ】「大アナゴ」に恋した情熱の詩人

執筆者:野嶋剛 2018年9月14日
エリア: 中南米
「大アナゴ」ことコングリオ。体長は1メートルにもなるという。(筆者撮影、以下同)

 

 チリにいる。南米大陸の太平洋岸に張り付いたような、とんでもなく細長い国、というイメージを日本人は持っているだろう。それからチリ地震津波。1960年に起きた観測史上最大の巨大地震により、地球の裏側から津波が押し寄せ、日本も東北・三陸地方の沿岸部を中心に大きな被害を受けた。

 そのチリの中部にバルパライソという港町がある。港町といってもチリ第2の都市で、同国最大の港湾を有する。パナマ運河が開通する前は、太平洋―大西洋航路の立ち寄り地であった。チリで産出される金や銅の積出港となり、大いに栄えた。人が押し寄せ、海に迫った丘陵地にびっしりと民家が立ち並ぶ、異様な景観を呈するようになった。パナマ運河の開通で港としては廃れたが、景観は世界遺産に認められ、観光都市として再出発している。

カテゴリ: 社会 カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top