「君主号」の世界史 (31・最終回)

現代の世界と日本

執筆者:岡本隆司 2019年6月1日
エリア: アジア
令和時代の「天皇」は、皇室はどうなっていくのだろうか (C)時事

 

 さきの大戦が終わって、4分の3世紀にも垂んとする現在。天皇に対しては、「皇帝」はおろか、「君主」だとする感覚も乏しい日本人のほうが多いかもしれない。一定以下の世代では、「天皇は君主ではない」、「明治時代は立憲君主制だったのに対し、戦後は立憲民主制に変わった」というのが、ほぼ共通する認識だとも仄聞する。

君主号の変容

 おそらく「大日本帝国」に対するネガティヴな感覚とパラレルなのだろう。だが、戦争を知らないながらも、昭和天皇の実在した時代に生まれ育ったわれわれには、やはり違和感がぬぐえない。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司(おかもとたかし) 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)、『悪党たちの中華帝国』(新潮選書)など多数。
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