エクアドル大統領選「右派勝利」で崩された中南米「左派復権」ドミノ

6月ペルーも「急進左派vs.右派」の決選に

執筆者:遅野井茂雄 2021年4月23日
カテゴリ: 政治
エリア: 中南米
勝利を祝うラソ氏(C)AFP=時事
 
4月11日のエクアドル大統領選の決選投票は、中南米で続く左派政権復権の流れが続くかどうかが注目された。結果は無効票に救われた「右派」の勝利。ペルー大統領の決選投票にも少なからず影響を与えそうだ。

 2月26日付の「『4・11』エクアドル大統領選は中南米『政治地図』を塗り替えるか」の続報である。

 ボリビアに続いて左派政権回帰のドミノが起きるかと注目されたエクアドルの大統領決選投票が4月11日に行われ、急進左派のラファエル・コレア元大統領の息のかかったアンドレス・アラウス候補が、保守系のギジェルモ・ラソ候補に逆転で敗れた。得票率はラソ候補52.36%、アラウス候補47.64%と接戦であった。

 多くの事前調査では、1回目の投票でラソ候補に13ポイントの差をつけて決戦投票に臨んだアラウス候補の優勢が伝えられたものの、決選投票に進めなかった14人の候補者が獲得した有効票の48%の行方が読めず、どちらが勝ってもおかしくない状況であった(エクアドルでは投票は義務)。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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