法律成立でさらに注目「宇宙資源」は誰のものか(上)

執筆者:青木節子 2021年7月1日
エリア: アジア 北米 その他
5月31日から6月11日まで開かれた、COPUOS法律小委員会(国連宇宙部HPより)
拡大する“経済圏”はいよいよ宇宙に――。中でも注目を集めるのが、月などに存在する「宇宙資源」だが、この開発・所有や管理を規制する国際ルールづくりは始まったばかり。いかなる議論があるのか、国連宇宙空間平和利用委員会法律小委員会の議長を務めた筆者が解説する。[本篇(下)はこちらからお読みになれます]

 2021年5月31日から6月11日までの2週間、国連宇宙空間平和利用委員会(Committee on the Peaceful Uses of Outer Space: COPUOS)法律小委員会(以下「法小委」)が開催され、今後は、宇宙資源問題を議論するためのワーキンググループを法小委の「宇宙資源」議題の下に設置することとなった。

国際法上は続いている不明確な状態

 法小委終了後ほどなくして、日本では6月15日、「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案」(以下「宇宙資源法」)が可決され、民間企業が政府の許可を得て宇宙資源を開発・採取し、所有することが日本法に照らして可能になった。

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執筆者プロフィール
青木節子(あおきせつこ) 1959年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。専門は国際法、宇宙法。1983年慶應義塾大学法学部卒業、1990年カナダ・マッギル大学法学部附属航空・宇宙法研究所博士課程修了(法学博士)。防衛大学校などを経て、2016年より現職。2012年より内閣府宇宙政策委員会委員。著書に『中国が宇宙を支配する日』(新潮新書)、『日本の宇宙戦略』(慶應義塾大学出版会)、『宇宙六法』(共編、信山社)など。
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