教養としてのイギリス貴族入門 (1)

デヴォンシャ公爵家(上)

執筆者:君塚直隆 2023年1月21日
タグ: イギリス
エリア: ヨーロッパ
初代デヴォンシャ公爵(左)と、伯爵家の居城チャッツワース・ハウス((C)Snapvision - stock.adobe.com)
広大な屋敷で執事やたくさんの召使いと優雅に暮らす――「貴族」にはそんなイメージが広がるが、その家々の来歴が語られることは少ないようだ。『貴族とは何か』(新潮選書)を上梓する君塚直隆氏が繙くイギリス貴族の栄枯盛衰、まずはイングランドで上から8番目の家格となる「デヴォンシャ公爵家」から。

 イギリス貴族。この言葉を聞いて読者のみなさんはどのようなイメージを持たれるだろうか。広大な所領の真ん中に巨大な城のような屋敷を持ち、多くの召使いにかしづかれて優雅な生活を営む姿であろうか。まさに日本でも大評判のテレビドラマ『ダウントン・アビー』で描かれている世界である。21世紀の現在でもそのように暮らす貴族は確かに存在はするが、長い歴史の変遷のなかで、いまやそれはイギリスでも少数派になりつつある。

カテゴリ: カルチャー 社会
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執筆者プロフィール
君塚直隆(きみづかなおたか) 関東学院大学国際文化学部教授。1967年東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。東京大学客員助教授、神奈川県立外語短期大学教授などを経て、関東学院大学国際文化学部教授。専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。著書に『立憲君主制の現在』(新潮選書/2018年サントリー学芸賞受賞)、『ヴィクトリア女王』(中公新書)、『エリザベス女王』(中公新書)、『物語 イギリスの歴史』(中公新書)、『ヨーロッパ近代史』(ちくま新書)、『悪党たちの大英帝国』(新潮選書)、『王室外交物語』(光文社新書)他多数。
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