大統領が5年で6人:出口の見えないペルー政治混乱

執筆者:磯田沙織 2023年6月20日
カテゴリ: 政治
エリア: 中南米
ボルアルテ大統領の就任から半年が経つが政治混乱の収束は見えない(C)EPA=時事
 
南米ペルーでは、2018年3月以降、5年で5回も大統領が交代するという異例の政治混乱が続いている。昨年12月にカスティジョ前大統領が罷免されたことを受け、副大統領から昇格したボルアルテ大統領は、総選挙の前倒しを求める国民の意思に反して、任期を全うしたい国会議員と同調する意向を示し、一層の政治不信を招いている。

 ペルーでは2000年にアルベルト・フジモリが失脚した後、憲法の規定通り5年ごとに大統領選が行われ、幾つかの課題を抱えながらも政治的安定性が評価されていた。しかし、2018年3月にペドロ・クチンスキが弾劾裁判中に辞任した後、規則正しい大統領交代は狂い始め、5年の間に大統領が5回も交代する異例の事態に発展した。そして現在、ペルーは、南米の中で最も政治が不安定化していると評価される。

 本稿では、2018年以降の政治混乱を俯瞰した後、2022年12月の大統領罷免、その後の抗議活動、選挙の前倒し議論について詳述する。

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執筆者プロフィール
磯田沙織(いそださおり) 神田外語大学 外国語学部 イベロアメリカ言語学科 専任講師。博士(筑波大学)(政治学)。在パラグアイ日本国大使館専門調査員、日本学術振興会特別研究員(DC2)、筑波大学人文社会系助教を経て2020年4月より現職。専門は比較政治学、南米諸国の地域政治。
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