[ロイター]ティラノザウルス科の恐竜ゴルゴサウルスの子供は、自分の食事の好みをよく理解していたのだろう。ゴルゴサウルスの幼体は約7500万年前のカナダのアルバータ州で、シチペスという羽毛のある小型草食恐竜の1歳に満たない幼体を狩っていた。
ゴルゴサウルスの身の周りには獲物が豊富にあったため、好きな食べ物だけを食べることができた。非力なシチペスを解体し、肉付きの良い後肢だけを丸呑みにし、他の部分は手をつけなかった。
12月8日に学術誌『Science Advances』に掲載された論文では、体長約4.5メートル、推定年齢5〜7歳のゴルゴサウルス幼体の化石が見つかったと発表された。驚くべきことに、胃の内容物が残っており、最後の食事が明らかになった。
ゴルゴサウルスや、その数百万年後に生きたティラノサウルスは、肉食恐竜のティラノサウルス科に属する。今回発見された化石は、ティラノサウルス科の生態を理解する手掛かりとなり、ティラノサウルス科の捕食戦略や獲物が、成長するにつれて劇的に変化したことを示している。胃の中に獲物が残っているティラノサウルス科の骨格が見つかるのは、今回が初となった。
骨に残された歯型から、成体は大型の草食恐竜を狩っていたことが知られている。
アルバータ州ロイヤル・ティレル博物館の恐竜古生態学学芸員であり、研究チームを率いたFrançois Therrien氏は「成体のティラノサウルス科は、ハドロサウルスや角竜などの大型の獲物を捕らえ、殺すことができた。ティラノサウルス科の成体の頭蓋骨と歯は、大きな獲物に噛みついたり取り押さえたりするときの強いねじり応力に耐えることができた。一方でティラノサウルス科幼体の弱いかみつきや歯の形は、切り裂くことには向いていたものの、獲物を噛み押さえることはできなかった。比較的小型の恐竜種や恐竜の幼体を狩るのに適していた」と述べた。
研究は、ティラノサウルス科が成長するにつれて異なる生態的ニッチを占めていたことを示している。幼体のときは中型捕食者であり、亜成体や成体になると頂点捕食者になった。幼体が、成体と同じ獲物をめぐって競争しなかったことを意味する。……
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