世界重要選挙イヤー・2024年への希望

Foresight World Watcher's 5Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年12月23日
カテゴリ: 政治
エリア: ヨーロッパ
6月の議会選で勝利したギリシャの中道右派政権は「愛国心の露出を控えめに抑え、それでも選挙に勝つことが可能だと示した」と英エコノミスト誌[2期目の宣誓式に臨むキリアコス・ミツォタキス首相=2023年6月26日、ギリシャ・アテネ](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。各紙・誌とも1年を振り返る企画が充実する年の瀬、英エコノミスト誌が「今年の国2023」に選出したのはギリシャです。09年の財政赤字隠し発覚で欧州債務危機の発端にもなった同国は、19年に発足したミツォタキス政権による財政再建と親ビジネス路線で着実に成長軌道に乗っています。インフレによる物価上昇の影響もあり、生活が楽になったとも言いきれない状況ながら、ギリシャ国債の格付けが13年ぶりに投資適格級に復帰するなど「働かなくても食える国」からの脱皮は急ピッチ。アメリカ、ロシア、インド、台湾など世界で重要な選挙が続く24年、試練にさらされるであろう民主主義にとってギリシャは希望だという評価です。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。

Which economy did best in 2023?【Economist/12月17日付】

 英「エコノミスト」誌が毎年末に選出する「今年の国」と「今年の経済」の2023年版が発表された。

 まず「今年の経済」番付を示した「最もうまくいった経済2023」(12月17日付)は、経済面でメジャーな35カ国を対象に5つの指標(インフレ率、インフレ変動幅、GDP[国内総生産]成長率、雇用増加率、株価上昇率)をもとにランク付けした結果を紹介。その上位は次のようになった。

1位 ギリシャ(前年1位)

2位 韓国(同21位)

3位 米国(20位)

4位 イスラエル(4位)

5位 ルクセンブルク(17位)

6位 カナダ(7位)

7位 チリ(23位)

8位 ポルトガル(2位)、スペイン(4位)

10位 ポーランド(27位)

 記事のリードに「また予想外の勝利(Another Unlikely Triumph)」とあるとおり、ギリシャが2年連続の首位につけた。昨年の勝因は、ポルトガルやスペインなどと同様、コロナ禍の終息によって観光産業が一気に復調したことだったが、今年もギリシャをトップに押し上げたのは43.8%というダントツの株価上昇率だった(この指標の2位はポーランドの24.4%)。

 もっとも、株式相場さえ上がれば総合順位も上がるというわけではない。株価上昇率20.6%で同率3位のアイルランドとトルコは、総合では11位と15位。アイルランドは-4.1とマイナスに転じたGDP成長率に足を引っ張られたし、トルコは69.5%ものインフレ率に沈んだ(アイルランドのGDP成長率とトルコのインフレ率はいずれも23年ワースト1)。

 日本も株価上昇率こそ17.7%と好調だったものの、……

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