【Analysis】西側からの制裁後、ロシア政府が航空分野に120億ドル支出

2024年1月17日
タグ: ロシア
エリア: ヨーロッパ
ロシア・モスクワ郊外のシェレメーチエヴォ国際空港に向かって降下するアエロフロート機[2023年8月23日](C)REUTERS/Maxim Shemetov
ウクライナへの侵攻によって西側が制裁を課した結果、航空分野で重要部品やメンテナンスに支障を来たしているロシアが、航空産業に対して補助金や融資の形で120億ドル以上支出したことがわかった。

[ロイター]外国製の航空機に頼るロシアは、国産部品を使って自前の航空産業を育てるという巨大な課題に直面している。並行して、リースで運用している航空機の差し押さえを避けるため、欧米の貸主からの購入も進めている。

 欧州エアバスと米ボーイングは侵攻翌月の2022年3月、ロシアに対するサービスと部品の供給を停止し、アエロフロートを始めとするロシアの航空会社に対する定期メンテナンスサポートを止めた。

 以来、ロシアは民間航空産業を支えるべく、航空機製造や航空会社への資金援助など、1兆900万ルーブル(120億700万ドル、1ドル=90.2900ルーブルで換算)を投じてきた。ロシア財務省と国家予算を監督する会計検査院のデータに基づいてロイターが計算して判明した。

 この額は、新型コロナウイルスの蔓延によって空の旅が激減した2020年から21年にかけてロシア政府が業界に支出した5470億ルーブルの2倍近くになる。ロシア政府が基幹産業を管理しようと苦闘していることがよくわかる。

「我が国の飛行機隊は混みすぎだ……外国製の飛行機で」。2023年暮れ、ウラジーミル・プーチン大統領はこう語った。「2030年までに1000機の国産機を作る計画だ。やることはたくさんある」。……

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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