ロシアの「国家的惨事」

執筆者:名越健郎 2010年1月号
エリア: ヨーロッパ

 ロシアのメドベージェフ大統領が国民のアルコール大量消費を「国家的な惨事」とし、ウオツカの最低販売価格設定、酒税増税など節酒政策に乗り出した。 大統領によれば、ロシア人1人当たりの純アルコール消費量は年間18リットルに上り、世界一。「信じられない量で、国と国民にとって脅威だ」と述べた。冷戦後に人気が高まったビールの総消費量も、今や中国、米国に次いで世界3位。 節酒令は、かつてゴルバチョフ旧ソ連大統領が書記長時代の1985年に打ち出し、空前の物不足や密造酒につながったことがある。ペレストロイカ時代に学生生活を送った「ゴルバチョフ・チルドレン」の大統領は、不人気な政策にあえて挑戦した。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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