先週、南アフリカにある日本研究センターのセミナーで話をしてきた。セミナーのタイトルが「ビジネスの成功のためのレジリアンス」だったので、「日本企業はレジリアントか?」という演題にした。一橋大学の米倉誠一郎教授とご一緒したが、彼の演題は「日本企業のレジリアンス」だった。
このセンターはプレトリア大学のビジネススクールに附置され、日本企業の出資で運営されている。アフリカ大陸初の日本研究拠点だ。
レジリアンスとはもともとは環境社会学の概念で、社会や生態系が環境変動の影響から回復するメカニズムのことをいう。今回の主催者にその意識はなかったようだが、東日本大震災後の日本はこの分野にとってかっこうのケーススタディであろうし、日本企業と日本の経済社会はレジリアンスを試されている最中だといえる。アフリカ研究では、政策変化や気候変動に遭遇した農村社会の変容ぶりを扱った論文などでも登場する概念である。

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