“放火魔”とまで罵られる落日の経済産業省

執筆者:広田俊哉 2005年4月号
タグ: 日本

「最近、存在感を示せたのは(四面楚歌となった)ダイエー問題だけかもね」 経済産業省の中堅官僚は自嘲気味に「地盤沈下」を口にした。 かつて「日本経済の参謀本部」と崇められたプライドは健在だ。例えば、財務省との予算折衝で主計官(課長級)に対し他省庁は局長を充てるのに、経産省だけが同じ課長クラスを充てている。 ただ、経済自由化や規制緩和で影響力を失い、看板を通産省から「経済産業省」に換えて「マクロ経済官庁」への衣替えを狙った二〇〇一年の省庁再編では、経済企画庁の経済予測部門、郵政省の情報通信部門の奪取を画策したものの、結局は科学技術庁から原子力監督部門を吸収できただけ。職員に「経済省」と自称するよう通知したが、小泉政権下では経済財政諮問会議に経済政策の主導権を奪われ、新聞紙面に「経産省」の名が躍ることすら少なくなった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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