「運河拡張」迫るパナマで示した日本の存在感

執筆者:市川亮太 2007年9月号
エリア: 中南米

[サンパウロ発]中米パナマの総人口の三割、百十八万人が暮らす首都パナマ市。太平洋に面するパナマ湾の岸壁に数十メートルおきに並ぶ大口径の土管からは、悪臭を放つ黒い水が絶え間なく吐き出される。高層ビルが立ち並ぶ新市街を走るマタスニヨ川には、目を刺す臭いとともに生活排水がごうごうと泡を立てて流れ込み、野鳥が競って川面に首を突っ込んで「獲物」を漁る。スペイン植民地時代から太平洋と大西洋を結ぶ交通の要衝として栄えたパナマには、米政府が敷設した下水道こそ存在するが、汚水処理施設がないため、同市だけで一日当たり約三十三万立方メートルの生活排水やし尿が海に垂れ流しになっている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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