ギリシャのコルフ・アジア美術館から、日本美術の収蔵品がごっそり運ばれてきた。 江戸東京博物館で九月六日まで開かれている「写楽 幻の肉筆画 ギリシャに眠る日本美術~マノスコレクションより」。鈴木春信に喜多川歌麿、葛飾北斎ら江戸浮世絵のビッグネームがずらりと並び、しかもかなりの名品揃いで見応えありだ。この大半が、もともとは個人の収集品だったというから驚く。集めたのはグレゴリオス・マノスなるギリシャの外交官。外交史や美術史に広く名を留めているわけではなく、そもそも東洋へ赴いたこともない。それでも東洋美術の一大コレクションを築いたこの人物、いったい何者なのだろうか。

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